<終了しました>学生主役の企画展 第4弾―「島原大変肥後迷惑」の記録と記憶― 開催中【5/29~7/16】

安高啓明研究室×附属図書館 連携企画展Ⅳ ―「島原大変肥後迷惑」の記録と記憶― を中央館で開催しています。
 
【企画展名物!『解説シート』】
「島原大変 肥後迷惑」という言葉を、一度は耳にしたことがありませんか?
今回の企画展では、おなじみの『解説シート』に加えて、特別に『パンフレット』も用意しました!
2種類の資料を見ながら、展示をお楽しみください♪
 
館内展示(1階 ラーニングコモンズ)
東日本大震災や熊本地震など日本は災害の多い国と言われています。
古来より多くの災害が発生し甚大な被害をもたらしてきており、人々はその記憶を伝えるため多くの記録を残してきました。
本企画展では、寛政4(1792)年に起きた「島原大変肥後迷惑」を通してその営みを紹介します。
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smiley学生が主役になれる企画展<第四期>laugh
 ― 「島原大変肥後迷惑」の記録と記憶 ― 
 
Ⅰ 書物に見る災害の記録
<文字として残された災害の記録を紹介>
寛政4年、普賢岳噴火に伴う眉山の山体崩壊により大津波が発生し、被害は対岸の熊本にも及びました。
甚大な被害をもたらした、その様子を人々は書き記し後世へ伝えています。
 
Ⅱ つなぐ記憶と供養塔
災害後、土砂崩れや大津波などで亡くなった人々は島原藩や地域の人々によって供養されました。
島原半島や熊本県の被害を受けた地域には多くの供養塔が残され、現在でも犠牲者の冥福が祈り続けられています。
 
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「島原大変前後図」
年代:明治23(1890)年 
所蔵:肥前島原松平文庫
明治23年に原図を写して、金井俊行(南高来郡長)の文章が書き加えられたものです。大変前の図に大変後の図を重ねることで、被災と復興の様子がわかります。
原図は所在不明であるため、貴重な絵図です。
 
☆挿絵や見るときのヒントになるキャプションも、会場でご覧ください。
 
期間 : 平成30年5月29日(火)~ 7月16日(月)まで
場所 : 中央館1階 ラーニングコモンズ
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『島原大変 肥後迷惑』は寛政4(1792)年に起こりましたが、
有名な”フランス革命(1789)のわずか3年後のことです。
現在に繋がる貴重な記録をみるために、企画展ⅣへGO!!
 
 
船の科学館平成29年度PROGRAM3「海の学び調査・研究サポート」採択事業
長崎・熊本両県における自然災害(地震・噴火・津波)に関する総合調査 
―寛政4年「島原大変肥後迷惑」の文献・慰霊碑を中心に― 
研究代表:安高 啓明(熊本大学大学院准教授)   
作成:久保 春香、長屋 佳歩、川端 駆(日本史研究室)
 

   
◆◇ごあいさつ◇◆
 
 雲仙岳では寛政3(1791)年から地震が頻発、住民が不安を抱えるなか、寛政4(1792)年1月18 日には噴煙があがった。この噴火によって、溶岩が周辺地域に流れ、その後も、有感地震はおさまる兆しがなかった。こうして、4月1日夜、島原地方を大規模地震(マグニチュード6.4)が襲う。これにより、雲仙岳の東側にある眉山の山体崩落が起こり、土石流が有明海に流れ込んだ。
 すると、大津波が発生し、天草や熊本、宇土、玉名、荒尾などにも被害をもたらした。これにより、約15,000 人もの死者や多くの負傷者を出し、家屋・蔵が流失、牛馬も流死した。島原半島にとどまらず、対岸の熊本にも被害を及ぼしたことから、この一連の被災は「島原大変肥後迷惑」と言われた。未曾有の被害をもたらした災害を後世に伝えるため、数多くの記録物が作成され、被災地には、流死者を悼んだ供養塔も建立された。この供養塔は、島原藩が命じたもの、村の有志によるもの、僧侶が建立したものなどが現存している。
 雲仙普賢岳は平成2(1990)年11 月17 日に噴火したことを機に、翌年5月15 日には水無川で土石流が発生し、6月3日の大規模火砕流では、43 名の死者・行方不明者があった。また、平成28(2016)年4 月14 日、同月16 日に発生した熊本地震は、我々の記憶に新しい。島原・天草・熊本では、近年、幸いにも津波被害は出ていないが、かつての災害の史実を認識しておくことは、防災意識を醸成するうえでも肝要である。
 本企画展は、船の科学館・日本財団の海の学び調査・研究サポート「長崎・熊本両県における自然災害(地震・噴火・津波)に関する総合調査―寛政4年「島原大変肥後迷惑」の文献・慰霊碑を中心に―」(研究代表:安高啓明)の助成をうけて実施することができた。調査研究分担者の松本博幸(天草市)・吉田信也(島原市)には多大なご協力を得た。また、日本史研究室に所属し、将来、学芸員への就業を希望する大学院生・学部生も、調査から展示に至るまで参加し、実践教育の機会として本事業を実施することができた。本事業にご協力いただいた関係各位に衷心よりお礼申し上げる。
平成30 年5月29日
熊本大学大学院人文社会科学研究部
准教授 安高啓明