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自元徳二年正月十四日至明応八年八月四日(1330 ― 1499)
阿蘇社造営文書並記録 刊本291号 (4/13)
鎌倉末期の阿蘇社造営関係文書群を一括書写した記録として、本来仮袋綴<ふくろとじ>となっていたものである。後に更に明応以降の別紙別筆造営史料が追加されている。書写されている個々の文書の大半は短いが、料木注文のほかに、瓦・桧皮<ひわた>など屋根材の注文、各種金物と代金、絵具・金銀箔の見積り、祭料や作料等の覚など内容豊富であり、後代の参考のために書写したのであろう。しかし、その時点ですでに書写内容と冒頭目録下書に異同が生じている上、後代に末尾がはずれ、別の造営史料が追加されている。同文書は阿蘇社の造営記録としては最も古い時代のものであり、史料的にも現存する阿蘇社神殿図の時代判定の決め手となる内容を含んでいる。現存の社殿絵巻に描かれる二種の神殿図が桧皮だけの屋根であるのに対し、鎌倉末の元徳の造営では桧皮と瓦が用意され、上葺は桧皮、下は瓦葺の二重の屋根の神殿とみられるからである。(阿蘇品)