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嘉永五年(1852)五月八日
孝明天皇口宣案 刊本351号
阿蘇家文書中には、天保期以降、阿蘇家当主を叙任した口宣案六通が伝存している。これは阿蘇惟敦を従五位下に昇叙したもの。近世末の政治・思想状況のもとでの阿蘇神社宮司阿蘇家の地位の高まりが示されている。
こうして阿蘇氏は明治に至って華族となり、男爵に列せられた。そして、その家伝文書すなわち阿蘇家文書は、東京帝国大学文学部史料編纂所によって『大日本古文書家わけ第十三』として早期に翻刻・出版され、1930年代には学界にひろく共有されて検討・利用された。そこから、日本中世の政治史・社会経済史等に関する多くの研究が生み出されることになったのである。(稲葉)