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文治四年(1188)五月 日
甲佐宮神官等解 刊本5号
甲佐宮神官(大江・安倍)等が、木原顕実寄進所領の一円不輸<ふゆ>化を求め、本所(領家源定房)使がそれに承認の外題<げだい>を与えている。本状には、承安三年の寄進状が副進されているが、対象田地の限定も無く、また一円不輸化を本所に求め、本所使が承認の外題を与えている点も不自然である。おそらく本文書は、承久三年(1221)正月十八日の木原実澄の甲佐社への守富荘の所当半分の寄進(刊本98号)以後に、所領の一円支配を目指す甲佐宮神官によって作成されたものではないか。なお、「大日本古文書」は、本文中に筆跡を異にするところがあるとし、当時のものとみることに疑問をはさんでいるが、本文と差出署がまったく異なり、差出署と袖の外題の墨跡が類似している点など、疑問が多い。(工藤)