細川家第一家老松井家に伝来した文書群に含まれる本絵図は、島原一揆における幕藩軍の原城(有馬城)攻めの様相を描く。城攻めに加わったすべての大名家及び幕府衆らの陣が色分けされ、塀際の堀道など籠城側の防御施設も多く書き込まれている。伝来状況からみて、松井興長らが統括する細川家の論功の場で家臣の申請内容を検証するために作成された絵図と推察される。
本絵図の最大の特徴は、各大名家の仕寄場(城攻め持場)の状況を極めて具体的に描いている点にあり、その描写の多くが同時代の文書史料の内容と合致する。また、臼杵藩主稲葉家に本図の写とみられる絵図が伝存することも、本絵図のオリジナル史料としての価値の高さを示す。今次の修復事業によって展示可能なレベルにまで甦った。
アフター画像1

ビフォー・アフター画像1キャプション
画像の右側に原城(有馬城)の本丸・二丸・三丸があり、左側に城攻めに加わった陣が色分けされている。
細川家は左上の赤で示される軍勢である。
細川家は左上の赤で示される軍勢である。
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(寛永15年)肥前国有馬城之絵図 [寸法 132.0×152.5cm]【熊本大学所蔵 松井家文書】
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解説者情報
稲葉継陽 永青文庫研究センター長