論文をジャーナルに投稿する際に、オープンアクセス(OA)で出版するための費用としてオープンアクセス論文掲載料(APC:Article Processing Charge)を出版社から求められることがあります。
熊本大学の構成員(教職員・学生)であれば、以下の出版社についてAPCの支援や割引を受けることができます。
オープンアクセス推進に係る論文掲載料支援制度による支援
熊本大学では以下の出版社との間で、電子ジャーナルの購読と論文のOA出版を包括的に取り扱う契約(転換契約)を締結しています。本学が論文掲載料を支援することにより、著者は正規APCよりも低額な経費負担で、対象のハイブリッドOAジャーナルでのOA出版を選択することができます。
支援件数には、出版社ごとに1年単位での件数の制限があるため、先着順での支援を行い上限に達し次第終了します。
Springer Nature (2025年1月1日より開始)
Springer、Palgrave Macmillan、AdisおよびAcademic Journals on nature.comのハイブリッドOAジャーナルが対象となります。
対象ジャーナルと支援の詳細は、学内限定ページ(Moodle)をご確認ください。
Elsevier (2025年4月1日より開始)
支援の詳細は、2025年3月頃公開予定です。
オープンアクセス論文掲載料(APC)割引情報
以下の割引の適用については、図書館での取りまとめは行いませんので、著者ご自身で出版社やジャーナルのWebサイト等を確認し、申請してください。また、学会では個人会員向けにAPC割引制度が用意されることもありますので、各学会のWebサイトをご確認ください。
2024年12月2日現在
出版社 | 対象ジャーナル | 割引内容等 | 対象著者 | 利用方法 |
---|---|---|---|---|
American Association for the Advancement of Science (AAAS) | Science Advances | 投稿者所属機関のScience Advancesにおける論文掲載実績等により5%~15%のAPC割引が提供されます。 | 責任著者 |
Science Advances APC割引取得手順(PDF) Licensing and charges - Science Advances |
Association for Computing Machinery |
IEEE、Sageとの共同出版タイトルを除いたACM刊行物(詳しくはこちら) | ACM Openでの契約により、APCが無料になります。(2025年1月1日~2027年12月31日) | 責任著者 | 熊本大学の電子メールアドレスを使用して投稿した論文で利用できます。 |
American Chemical Society (ACS) | すべてのハイブリッドOAジャーナル | 熊本大学は「Subscribing Institution」に該当するため、APC割引価格が提供されます。 (著者ご自身がACS会員であれば、更に割引された価格になります) |
責任著者 |
Pricing - ACS Open Science |
De Gruyter | ハイブリットOAジャーナル、フルOAジャーナル 対象リスト(Excel) |
2024年12月31日までに受理された論文をOAにする場合に、熊本大学での購読特典として10%のAPC割引を使用できます。 |
責任著者 |
著者向けOAマニュアル(PDF) 割引利用にはRINGGOLD Numberが必要なため、雑誌担当へお問い合わせください。 |
Microbiology Society | すべてのジャーナル | 雑誌購読契約の有無に関わらず、プロモーションコードの入力により、APCの10%割引を使用できます。 (2025年6月まで) |
限定なし | OA出版費用割引プロモーションコード (代理店Webサイト) |
Multidisciplinary Digital Publishing Institute (MDPI) | すべてのジャーナル | 熊本大学は「Institutional Open Access Program(IOAP)」に参加しているため、10%のAPC割引があります。 (査読者割引や招待割引との同時使用ができます) |
限定なし | Institutional Open Access Program - MDPI (ジャーナルWebサイト) |
National Academy of Sciences of the United States of America (NAS) | Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS) | 熊本大学は「Institutions with current-year site licenses」に該当するため、即時Open Accessにする場合はAPC割引価格になります。 (出版後6ヶ月経過するとすべてOpen Accessになります) |
責任著者 | Publication Charges - PNAS (ジャーナルWebサイト) |
SCOAP3に加盟する出版社 | SCOAP3の対象誌(2020-2022) (SPARC JAPAN) |
SCOAP3の会員館が会費を負担しているため、APCの負担はなくOAになります。著者による手続きは不要です。 (熊本大学はSCOAP3の会員館です) |
限定なし | SCOAP3 Journals (SCOAP3 Webサイト) |
物質・材料研究機構(NIMS) Empa (Swiss Federal Laboratories for Materials Science and Technology) |
Science and technology of advanced materials (STAM) | 創刊25周年を迎える2025年3月末まで、掲載料が無料となっています。 | 限定なし | Article publishing charge (ジャーナルWebサイト) |
【用語解説】
オープンアクセス(OA)
論文等の学術情報がインターネット上に公開され、無料でアクセスできる状態のこと。研究者や図書館が中心となって行う「グリーンロード」と、商業出版社により行われる「ゴールドロード」がある。
グリーンOA
著者自身が、機関リポジトリ等に著者最終稿を登録して論文を公開する。出版社版の掲載ができない事が多いため、国内では紀要論文のOAが中心となっている。熊本大学の構成員が出版済みの論文をオープンアクセスにする際には、熊本大学学術リポジトリを使用できる。 参考:熊本大学学術リポジトリ
ゴールドOA
商業出版社が、著者から論文掲載料(APC)を徴収し、読者には無料で論文を公開するOAジャーナルを出版するビジネスモデル。出版費用がAPCによって賄われ掲載論文がすべてOAである「フルOAジャーナル(Gold OA誌)」と、購読料によって出版されるものの著者がAPCを支払ってOAを選択する事もできる「ハイブリッドOAジャーナル」がある。
ハゲタカジャーナル
APC収入のみを狙って刊行され、査読等のしかるべき水準の品質管理を行わない悪質なOAジャーナル。フルOAジャーナルに投稿する際には、ハゲタカジャーナルでないことを確認する必要がある。
参考:ハゲタカジャーナルへの投稿リスク・ハゲタカ学術集会への参加リスクについて(注意喚起)【熊本大学URA推進室】