第36回熊本大学附属図書館貴重資料展「廃藩置県と熊本藩」

(明治4年) 死罪論

外題

死罪論

文書群名

幸家文書

所蔵機関

永青文庫研究センター

内容

幸凖蔵による廃藩置県批判

年代

明治4年

目録番号
一紙71

改革実績をあげた旧知藩事は免職せず、県知事へ任命を!

旧熊本藩士の幸凖蔵(ゆきじゅんぞう)による意見書の草稿。廃藩直後の明治4年(1871)8月末から同年11月までの間に作成され、明治政府やその要人に宛てて書かれたものとみられる。

本意見書では、廃藩置県を「古今未曽有の御改正」と称賛しながらも、全国の知藩事(旧藩主)を一律に免職する措置を痛烈に批判する。すなわち、「版籍奉還後、治績があがらない知藩事がいるため、藩を廃止する」という廃藩置県の詔書を引用し、逆に治績をあげた者は留任させるべきとして、旧熊本藩知事細川護久による藩政改革の実績を列挙し、護久の県知事就任を強く訴えている。さらに、長年にわたる旧藩主ー旧藩士間の主従関係の否定について、たとえ全国が一旦は従ったとしても、それは「屈服」であって、「心服」ではなく、旧藩主に薄情な者が朝廷にだけ忠義に厚いことはないと論じる。廃藩置県に対する旧藩士の批判的反応を示したものとして、全国的にも極めて貴重な史料である。(今村)

 

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【掲載画像15枚目拡大】「縦令一旦天下((ママ))然トシテ服シ候共、所謂ル屈服ニテ心服ニテハ無御座候」
長年にわたる旧藩主-旧藩士の主従関係の否定について、たとえ全国が一旦は従ったとしても、それは「屈服」であって「心服」ではなく、旧藩主に薄情な者が朝廷にだけ忠義に厚いことはないとする。

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