第36回熊本大学附属図書館貴重資料展「廃藩置県と熊本藩」

明治5年6月 細川家文書保存の趣意書

外題

雑録 地

文書群名

細川家文書

所蔵機関

公益財団法人永青文庫

内容

細川家文書保存の趣意書

年代

明治5年6月

目録番号
8.1.185.2

細川家文書は旧藩士の力で守り抜く!

江戸時代、全国には約260の藩があったが、その歴史資料の多くは廃藩置県後に散逸した。細川家文書のような大規模な資料群が現存することは例外的な事例である。

旧藩士坂本彦兵衛(さかもとひこべえ)の意見書(写)である本史料は、廃藩後の細川家文書の危機と伝来した要因を示すもの。これによると、廃藩後、旧藩庁文書は熊本県庁に引き継がれるが、県庁はその多くを民間に売却してしまう。この事態を受けて、県庁で不用となった旧藩庁文書は譲り受けるとともに、民間への流出分は買い戻し、目録を作成するとしている。注目すべきは、諸藩が「法を取りに来る」ほど高く評価された細川家の治績が、文書の散逸により失われることで、後年の「国史」編纂に支障をきたすという強い危機感が示されている点である。

その後、収集・整理された細川家文書は、同家の北岡邸(きたおかてい)(現北岡自然公園)で長く保管され、現在は熊本大学附属図書館に架蔵されている。(今村)

 

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【掲載画像1枚目拡大】「別テ宝暦以来ハ列藩ヨリモ法ヲ取ル程ノ治績」と記されている

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