学生主役の企画展 第6弾「日常を襲った衝撃 -江戸の災害と人々-」開催中

安高啓明研究室×附属図書館 連携企画展 第6弾
「日常を襲った衝撃 -江戸の災害と人々-」を中央館で開催しています。
 
館内展示(1階 ラーニングコモンズ)
現在、大規模災害が全国で多発しているように、江戸時代の人々も飢饉や地震などに悩まされていました。
思いもしなかった災害に当時の人々はどう向き合ったのでしょうか。
本展示では、安政の大地震や天保の大飢饉などの江戸時代の大規模災害の様子と、災害に直面した人々の対応を紹介します。
 
企画展名物!『解説シート』heart
今回も、学生力作の『解説シート』を無料配布します♪
江戸時代の大地震の出火場所の記録を、現在の航空写真と対比しわかりやすく説明しています。
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smiley学生が主役になれる企画展 ⑥laugh
 日常を襲った衝撃 ―江戸の災害と人々―  
 
期間 : 平成30年11月16日(金)~ 31年3月下旬
場所 : 中央館1階 ラーニングコモンズ
 
enlightened注目資料yes
◆『地震類焼場所明細書之写并御堂筋近郷聞書』
 作成:不明 年代:江戸時代 所蔵:安高啓明研究室
<安政2(1855)年の地震によって起こった火災の記録>
 
◆『江戸大地震出火場所附』
 作成:不明 年代:江戸時代末期~明治時代 所蔵:安高啓明研究室
<安政の大地震に伴う火災被害(出火場所、焼失の程度、怪我人の多さ)>
 
 魅せる展示の工夫がいっぱいです♪
 『解説シート』と一緒にお楽しみください。
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研究代表:安高 啓明(熊本大学大学院准教授)
解説シート作成:長屋 佳歩(熊本大学大学院)
山下 葵(熊本大学)
川端 駆(熊本大学)
 

   
◆◇ごあいさつ◇◆
 
 前近代社会、治水や防災事業が不十分ななか、多くの天災に見舞われる。地震や台風、飢饉といった自然災害に対して現実的対応とともに、畏怖から呪術的に解決しようとする動きがあった。試行錯誤を重ねながらも、被害状況などをつぶさに記録し、後世に残すべき教訓として伝えていった者もいた。そこには、繰り返される天変地異への警鐘というべき人類の知恵が集約されている。
 今回の展示では、江戸時代の災害として著名な安政地震と三大飢饉を取り上げる。安政地震は、1854(安政元)年に東海地方で発生したことをきっかけに、その翌年には、江戸で直下型地震が起こり、未曾有の被害を出した(安政江戸地震)。それ以降も列島各地で頻発した地震に多くの人々は不安な状況に陥った。そして、享保17(1732)年の享保飢饉、天明3(1783)年から起こった天明飢饉、天保7(1836)年に起こった天保飢饉は、冷害や長雨、虫害等によって農産物に多大な被害を及ぼした(江戸三大飢饉)。米価高騰も相まって、多くの餓死者が出るなど、凄惨な状態が続いた。こうした過去の記録からは、逼迫した状況が伝わってくるとともに、乗り越えた先人たちの英知を知ることができる。
 平成28(2016)年4月14日、同月16日に発生した熊本地震によって、いつ見舞われるかわからない災害に対峙していかなくてはならない気持ちを多くの人がもっただろう。かつての災害の史実を認識しておくことは、防災意識を醸成するうえでも肝要であり、それを伝えることは歴史学の果たすべき役割である。一人でも多くの見学者にこうした教訓を提示できれば幸いである。
 本企画展は、船の科学館・日本財団の海の学び調査・研究サポート「長崎・熊本両県における自然災害(地震・噴火・津波)に関する総合調査―寛政4年「島原大変肥後迷惑」の文献・慰霊碑を中心に―」(研究代表:安高啓明)の助成をうけて実施することができた。日本史研究室に所属し、将来、学芸員への就業を希望する大学院生・学部生も、調査から展示に至るまで参加し、実践教育の機会として参加した。本事業にご協力いただいた関係各位に衷心よりお礼申し上げる。
 
平成30(2018)年11月16日
熊本大学大学院人文社会科学研究部
准教授 安高啓明