学生主役の企画展 第11弾【江戸時代の国際ターミナル ー「鎖国」下の長崎ー】12/5-

 
安高啓明研究室×附属図書館 連携企画展 第11弾
【江戸時代の国際ターミナル ー「鎖国」下の長崎ー】を中央館で開催しています。
 
  館内展示(1階 ラーニングコモンズ)

江戸時代、幕府は鎖国体制を確立しますが、キリスト教の流入を防ぐため、貿易港を長崎に制限し、中国とオランダのみを貿易の相手国とし たのです。さらに、来航したオランダ人を出島に、中国人を唐人屋敷に滞在させ、日本人との接触を制限していました。その一方で、出島や唐人 屋敷の内部では、〝オランダ風〟〝中国風〟の生活を営むことが許されていたのでした。
 鎖国下の日本で、彼らがどのような生活を送っていたのか…。当時のオランダ人や中国人を描いた版画からのぞいてみましょう。

 
  企画展名物!『解説シート』

今回も、学生力作の『解説シート』を無料配布します♪
当時のオランダ人や中国人を描いた版画を、詳細な解説付きで紹介した『解説シート』を手に展示物をご覧下さい。鎖国下の日本で、彼らがどのような生活を送っていたのか、体感いただけます。

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学生が主役になれる企画展 11
 「江戸時代の国際ターミナル ー「鎖国」下の長崎ー」
 
 
期間 : 令和4年12月5日(月)~ 
場所 : 中央館1階 ラーニングコモンズ
      
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第11回企画展の写真
 
研究代表:安高 啓明(熊本大学大学院准教授)
解説シート作成:山田悠太朗(熊本大学)
牧野寿美礼(熊本大学)
一瀬 遥香(熊本大学)
 

 
 ◆◇ごあいさつ◇◆
 

 江戸時代の日本は、キリスト教禁教が政策的骨子にあり、国内にはキリシタンが存在しない世の中がつくられていきました。そして、キリスト教の流入を防ぐため、幕府は長崎を貿易港に指定するとともに、交易で訪れるオランダ人を出島、中国人を唐人屋敷に居住させます。日本人との接触を制限するために、一種の隔離政策がとられたのです。出島や唐人屋敷に出入りする役人や商人も限られており、オランダ人や中国人は統制されたなかでの生活を余儀なくされました。
 一方、出島や唐人屋敷では、比較的自由な生活様式が認められていました。食事や飲酒、催事など、自国の営みが許容されています。これは、日本人にも影響を与えることになり、長崎への遊学者たちは、異国文化として受け止め、多く人たちに紹介していきます。これが、日本の文化や学問、思想的にも取り入れられることになり、特に長崎では特異な文化が生まれました。
 鎖国体制下にあった日本において、唯一、長崎で外国人が滞在していました。他の地域にはない特殊な都市であったため、オランダ人や中国人を素材とした、いわゆる“長崎土産”がつくられると、来崎者たちはこれを購入していきます。出島や唐人屋敷で隔離していたものの、封じ込めることができない異国情緒あふれる環境が長崎で形成されていたのでした。
 本企画展では、江戸時代の長崎に設けられていた出島と唐人屋敷の様子を取り上げます。決して閉塞感のない、生き生きしたオランダ人と中国人の姿がそこにはありました。“鎖国”という言葉のイメージとは異なる、当時の社会状況を認識してもらえれば幸いです。

 

令和4(2022)年12月5日

 

熊本大学大学院人文社会科学研究部

准教授 安高 啓明